ご挨拶
こんにちは、ツキシマです。
今回は「イコライザーの使い方実践編」ということで、イコライジングの考え方やコツなどについてみていきたいと思います。
動画の目次です。
イコライザーを使う時、基音と倍音、キックとベースのイコライジングについて考える、ブーストとカットはどちらが正解か、最後にまとめと次回予告です。
それでは、イコライザーを使う時について考えていきたいと思います。
イコライザーを使う時 ~ツキシマ的イコライザーのコツ3選~
まず最初にお断りしておきますが、イコライジングの仕方や考え方は人それぞれあります。
これからお話しすることは、私の経験に基づく考え方や心掛けていることで正解では無いこともあると思います。
ご理解の上ご視聴下さい。
では始めていきます。
イコライジングをするときに私の中で決めていることは以下の3つです。
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不要な低音のカットをしっかりする(ローカット)
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カットするときは他のトラックと近い帯域が被り(マスキング)譲る必要がある場合に行う
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ブーストカットし過ぎない
以上です。
1つずつ見ていきます。
ポイント1
1番の「不要な低音のカットをしっかりする」についてみていきます。
「ベース」やドラムの「キック」といった低域を担う楽器はもちろんですが、それ以外のパートでも、不要な低音が出ている場面があります。
例えばボーカルやシンセサイザー(リード系)などで「80Hz」から「100Hz」以下の音は、楽曲の中で必要が無いと判断した場合はローカットします。
リード系のシンセサイザーなども、使う機材や音によっては下の画像のように「50Hz」以下あたりに必要の無い音が出ているケースもあります。
こういった場合は音に影響が無ければカットします。
ただ、これらも闇雲に全てローカットするのではなく、必要と判断したらカットするようにしています。
ポイント2
2番の「カットするときは他のトラックと近い帯域が被り譲る必要がある場合」についてみていきます。
音作りのためにイコライジングする時もありますが、基本的に私は「譲る必要がある場合にカットする」ようにしています。
よく下の画像のようにピークを鋭くして不要な帯域を探すやり方があります。
もちろんそういう手法は私も使用しています。
ただ、この方法で耳障りだと思う帯域がわかったとしても、その帯域は本当にカットして良いのか、またどのくらいカットすれば良いのかという判断が、単体のトラックを聴いただけだと私にはよく分かりませんでした。
今まで散々ミックスをしてきて毎回悩んでいたのですが、結果的に先ほど述べた「譲る必要がある場合にカットする」という考え方に私は行きつきました。
あとで「ベース」とドラムの「キック」の音源を使用して実際に操作しながらお話ししてみたいと思います。
ポイント3
3番の「ブーストカットし過ぎない」についてみていきたいと思います。
私はブーストカットする量は「6dB」を超えないようにしています。
やろうと思えば「24dB」とかプラグインによっては「30dB」くらいまで動かすこともできますが、やりすぎると逆効果で音が破綻してしまいます。
ブーストするとその帯域の音量はブースト量の2倍になるといわれていますので、それだけでもだいぶ音に影響がありますし、少しずつ位相もズレてきます。(下の画像参照)
私は出来るだけナチュラルにミックスしたいと思っていますので、ブーストカットは最大「6dB」までと決めています。
位相のズレについてはこちらの記事でどうぞ↓
次は「基音と倍音」についてみていきたいと思います。
基音と倍音
「基音と倍音」はイコライザーを使う上で、触りだけでも知っておいた方が良いと思いますので簡単にみていきます。
基音
「基音」とは楽器を演奏したときに出る音程のことです。
視覚的に見てみます。
ピアノの音で「ラ」の音を出すと「441Hz」にピークがあり、プラグイン上で鍵盤を表示すると「A」と表示されて、ここが基音であることを表しています。
鍵盤を表示↓
倍音
基音の右側に順番に飛び出ている周波数があります。
これらが倍音成分です。
イコライジングにおいては、この「倍音成分とその周辺をどう処理していくか」が重要になります。
「基音」はあまり弄りたくないと私は思っていますが、ほとんどの楽器の基音は「100Hz」から「600Hz」辺りにあり(下の画像参照)、どうしても他のパートと被ることが多いので、バランスを考えながら処理をしなければなりません。
ただ、基音と倍音の考え方は大切なことですが、細かく考え出すとキリがありませんので、とりあえずこれらを頭に入れつつイコライジングを学んでいけば良いのかなと私は思っています。
次はドラムの「キック」と「ベース」の周波数を見ながらカットすべき帯域を考察してみたいと思います。
キックとベースのイコライジングについて考える ~イコライジングポイントを探す~
音源の周波数をアナライジングする
ドラムの「キック」と「ベース」のどちらもミックスにおいては真ん中の位置に配置しますのでイコライジング処理がとても難しいです。
まずは何もせずに再生します。
動画内チャプター「06:02キックとベースのイコライジングについて考える ~イコライジングポイントを探す~」内にて視聴できます。この章は動画での視聴がお勧めです。
「fabFilter」の「Pro-Q3」の機能を使用してそれぞれのピーク部分を表示してみます。
どちらも同じような波形を持っていて、ピーク部分も近いです。
「キック」の基音部分は「96Hz」、「ベース」の基音部分は「108Hz」ということが分かります。
結果からイコライジングポイントを考察する
このグラフを見て私なりの考察ですが、まず「ベース」の「70Hz」から下をローカットして「キック」に譲ります。
代わりに「キック」の「110Hz」あたりを「2dB」カットして「ベース」の場所を作ります。(ベースの基音が108Hzなため)
また、「ベース」の「1.2kHz」付近に音がだいぶあります。
この辺は「ボーカル」や「ギター」が来ますので、「3dB」カットしたいと思います。
そして「ベース」の「3kHz」から上が少し弱い感じがしますので、シェルビングで「1dB」ブーストするような感じにしてみました。
さらに音作りをしたい場合は「Q」を絞って音源を再生しつつ要らないと思われる帯域を探すこともします。
今回は「キック」と「ベース」だけで考えていますので、そういう作業はしていません。
また「キック」のトラックで「20Hz」から下をカットしています。
イコライジング結果を確認する
以上がざっくりとした考察ですが、5箇所イコライジングしてみたグラフです。
再生してみます。
動画内チャプター「06:02キックとベースのイコライジングについて考える ~イコライジングポイントを探す~」内の「07:44」付近より視聴できます。
イコライジングしない時よりスッキリと聴きやすくなったと私は思います。
あとは「ボーカル」や「ギター」などの音を交えつつ、必要であれば戻ってきて周波数帯を調整していくといった感じを繰り返して私はミックスしています。
次は「ブーストとカットはどちらが正解か」について考えてみたいと思います。
ブーストとカットはどちらが正解か
「ミックスは引き算であり、イコライザーはカットに使う。」という考え方も多いと思います。
それについて私は正解だと思いますが、別にブーストをしても何ら問題ないとも思っています。
「イコライジングは意図があってその周波数帯でブーストもしくはカットする。そして意図が曖昧であれば弄らない。」と柔軟に考えて良いと私は思っています。
ただ、私はそこにいつも悩みながらミックスをしていますし、それが楽しかったりもしています。
次はまとめと次回予告です。
まとめと次回予告
まとめ
如何だったでしょうか。
普段私のイコライザーの使い方を簡単にお話しすると、トラックの最初にDAW純正のイコライザーを使い、いらない帯域をカットして音を整えます。
その次にビンテージ系のイコライザーで必要であれば欲しい帯域をブーストしたり「何もせずに通すだけ」といったこともします。
また、今回のベースのイコライジングのところで下の画像のように「3kHz」から上をシェルビングで「1dB」ブーストしましたが、私はこの処理をDAW純正EQの次に挿入したアナログ系のイコライザーで行うことが多いです。
このプラグインは「Waves」の「V-EQ4」です。
「NEVE」の「1081」というビンテージイコライザーをモデリングしたプラグインです。
右にハイフィルターがあり「3.3kHz」から上を「1dB」ブーストしてみました。
「Pro EQ2」のハイフィルターはオフにします。
ビンテージ系のイコライザーを使うと倍音やサチュレーションが付加されて、それが味になります。
結局のところ、DTMではイコライジングのやり方は無限にありますので、是非自分なりのイコライジングテクニックを探してみて下さい。
次回予告
今回のイコライザーの使い方動画は全4回の予定でしたが、延長戦をすることになりまして、次回の音楽堂では第5回目をお送りすることになりました。
内容は、以前とある動画の開封レビューを収録しているときに、周りでノイズが発生していてそれをマイクが拾っていました。
結果的にイコライザーを使ってそのノイズを消すことが出来ましたので、次回は「イコライザーでも場合によってはノイズ処理できます」というお話をしていきたいと思います。
また次回の動画も観て頂けたら嬉しいです。
次回のブログ記事↓
それでは、最後までご視聴ありがとうございました。
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