ご挨拶

ツキシマ

こんにちは、ツキシマです。

今回は、「Waves apiシリーズ」に含まれるバスコンプレッサーの「api2500」をレビューしていきたいと思います。また、前回と前々回にレビューした「V-Comp」と「SSL Buss Compressor」との比較検証も行ってみました。

目次は、「api2500の概要、各パラメーターと使い方、音源に掛けてみる、「3つ」のバスコンプレッサー比較、まとめと次回予告」です。

ツキシマ

それでは、api2500の概要からみていきたいと思います。

api2500の概要

「api2500」は、「VCAタイプ」のコンプレッサーです。これは「SSL バスコンプ」と同じタイプで、反応速度が速いのと音の変化が少なく、クリーンにコンプレッションされるのが特徴です。

またWavesの「api2500」は、実機のバスコンプレッサーをモデリングしたプラグインで、「抜けが良く、パンチの効いたアメリカンなサウンド」とよく表現されています。

使い所は、基本的にはバストラック(ステムミックス)やマスタートラックです。

ツキシマ

次は、各パラメーターと使い方についてみていきます。

各パラメーターと使い方

メーター

パネル上部には「VUメーター」があります。スイッチを切り替えることによって、「ゲインリダクションメーター・アウトプットメーター・インプットメーター」を表示可能です。

白いボタンを押して切り替えます

コンプレッサー

パネル中段のコンプレッサーセクションを左から見ていきます。装備されているのは、基本的なパラメーターです。

コンプレッサーセクション
  • スレッショルド
  • アタック
  • レシオ
  • リリース

リリースは、数値が決まっている時は左側のツマミ(50ms〜2sec)。細かく設定したい場合は、右側のツマミ(50ms~3sec)を使用します。

コンプレッサーの基本パラメーターについては解説記事がありますので参照して下さい↓

トーン

パネル下段左側はトーンセクションです。ここが他のコンプレッサーとの違いが最もあるところになりますので、詳しくみていきたいと思います。

ニー

「ニー」は、圧縮を始める時のふるまいを設定します。「HARD・MED・SOFT」の3種類から選択できます。グラフの折れ曲がる部分に違いがあります。(下図参照)

THRUST

コンプの掛かる帯域を3つのパターンから選択できます。「LOUD・MED・NORM」です。説明書のグラフをみるとイメージし易いと思います。(下図参照)

低音域と中音域と高音域でフィルターが機能して、コンプがどこの音に反応するか選択できる感じです。

  • 「LOUD」は、低域からミッドローの音をパスしてミッドハイから高音域の音に反応します。
  • 「MED」は、低域をパスして高音域の音。
  • 「NORM」は、全ての帯域の音にコンプが反応する感じです。

Type

内部の音のルーティングを選択できます。こちらも説明書に表が記載されています。(下図参照)

どちらを選択するかは、実際に音を聴いてみて好みで選ぶと良いと思います。

リンク

左右のチャンネルのリンク度合いを設定します。

Shape

リンクコントロールの形状を調整します。「LP・HP・BP・Off」から選択できます。

このリンクセクションは高度な設定になりますので、私は使用したことが無いです。初期設定の「リンク100%」「shape」はオフで、問題はないと思います。

出力セクション

Analog

アナログモデリングのオンオフを切り替えます。

ノイズや歪みを入れる場合は「オン」。必要ない場合は「オフ」にします。

アナログをオンにすると、下画像の丸の部分に表示されるようにノイズが乗ります。

OUTPUT

「0.1dB」単位で出力レベルを設定します。

Make-Up

出力ゲインをオートにするかマニュアルにするか設定します。デフォルトはオートです。手動で設定したいときは、この赤いスイッチをオンにして上のツマミを操作します。

IN

コンプレッサーのオンオフスイッチです。「IN」の状態だとコンプレッサーが機能します。このスイッチをオフにしてアナログをオンにすると、音はコンプレッサーをバイパスしてアナログのノイズや歪みのみを付加します。

ツキシマ

次は、実際に音源に掛けてみたいと思います。

音源に掛けてみる

今回の検証結果では、特に「TONE」セクションの「THRUST」による音の変化が良く見られました。

動画でチェック
YouTube動画

動画内チャプター「04:42 音源に掛けてみる」より、ドラムバスとマスタートラックに「api2500」をかけた音とバイパスの音の視聴比較ができます。

タブをクリックするとYouTube動画を視聴できます。

ドラムバス

コンプレッサーとイコライザーで音を整えたドラムセットです。各キットの音は「Drum Bus」というバストラックに流れて、そこからマスタートラックに行きます。

・結果の考察

「api2500」の「THRUST」を「MED」に設定しました。アナライズ結果を見てみると、その効果が良く表れています。低域のピーク周辺はあまり変化ありませんが、中高域の音は良く持ち上げられています。

マスタートラック

マスタートラックの最初に「api2500」を挿入しました。まとまり感とアナログ感を出すのが目的ですので、圧縮量は「1~2dB」程で、薄くかかる設定にしています。

・結果の考察

マスタートラックは、コンプが音全体にバランス良く掛かるように「api2500」の「THRUST」を「NORM」に設定しました。アナライズ結果を見てみるとその通りの結果になっていて、バランス良く圧縮されているようです。

ツキシマ

次は、3つのバスコンプレッサーを比較したいと思います。

「3つ」のバスコンプレッサー比較

「api2500」「V-Comp」「SSLバスコンプ」をほぼ同じ設定で掛けてみると、どのような結果になるのか比較してみたいと思います。

動画でチェック
YouTube動画

動画内チャプター『07:47 「3つ」のバスコンプレッサー比較』内より、バイパスの音と3つのバスコンプを掛けた音を視聴比較できます。

タブをクリックするとYouTube動画を視聴できます。

キック

キック単体のトラックで比較検証をしてみたいと思います。設定値は画面を参照してください。「6dB」くらい圧縮する設定です。

・結果の考察

「api2500」の「THRUST」は「LOUD」に設定しました。

バイパスと比較してみると、キックの低音域(64Hz付近)はそのままに、高音域が持ち上げられています。これは中々効果的で面白い結果です。

「V-Comp」の場合は、低域のピークが「64Hz」から「86Hz」に移動しつつ、全体的に持ち上がっている感じです。

「SSLバスコンプ」を掛けた結果は、低域を抑えつつ高域を結構持ち上げています。バランスは一番良いと思われます。

ドラムバス

次は、ドラムバスに掛けてみたいと思います。

・結果の考察

「api2500」の「THRUST」は「MED」です。

「api2500」と「SSLバスコンプ」は殆ど同じ結果でした。どちらも同じ「VCAタイプ」のコンプレッサーということもあるかもしれません。

「V-Comp」は僅かですが、他のバスコンプより低域と高域が強調されています。少し派手目なドラムにしたい場合は、「V-Comp」を選択するのが良いと思われます。

マスタートラック

最後に、マスタートラックに掛けてみて比較をしたいと思います。

・結果の考察

「api2500」の「THRUST」は「NORM」です。

マスタートラックでは、各バスコンプのアナライズ結果に殆ど違いは見られませんでした。その時の気分や好みで、使用するバスコンプレッサーを選べば良いと私は思いました。

ツキシマ

次は、まとめと次回予告です。

まとめと次回予告

まとめ

実際の音源に掛けてみたところ、「TONEセクション」の「THRUST」の選択によって結果が変わるのが、とても興味深かったです。他のコンプレッサーには無い機能です。これが「api2500」が人気の所以かもしれません。

またコンプレッサー部分は、よく見る標準的なパラメーターです。とても扱い易いバスコンプレッサーだと思いました。

次回予告

次回の音楽堂では、実機の「VUメーター」を購入しましたので、開封レビューをしたいと思います。今までは、プラグインのVUメーターを使用していましたが、実機を導入してみることにしました。VUメーターは、ミックスには絶対に欠かせないアイテムですので、楽しみにしています。

また次回の動画やブログ記事も観て頂けたら嬉しいです。

次回のブログ記事↓

ツキシマ

それでは、最後までご視聴ありがとうございました。

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