ご挨拶
こんにちは、ツキシマです。
今回は「ダイナミックイコライザー」について「Waves」の「F6」を操作しながらみていきたいと思います。
動画の目次です。
ダイナミックイコライザーとは、パラメーターと使い方、音源に掛けてみる、fabfilter Pro-Q3と比較、マルチバンドコンプとの違い、最後にまとめと次回予告です。
それではまず、ダイナミックイコライザーの概要についてみていきたいと思います。
ダイナミックイコライザーとは
一般的な普通のイコライザーは、指定した周波数帯において設定したブーストカットを常に行います。
例えば「500Hz」でゲインを「-6dB」と指定した場合、音源を常に「500Hz」で「6dB」カットし続けます。
イコライザーの使い方記事↓
対してダイナミックイコライザーは、指定した周波数帯で条件が揃った時にだけ動作するイコライザーです。
そしてその条件とは、コンプレッサーのように任意の音量レベル(スレッショルド値)です。
例えば、『音源の「500Hz」の音量が「20dB」を超えた時だけ「6dB」カットする』などといった使い方をします。
普通のイコライザーやマルチバンドコンプレッサーと比べて、より精密でピンポイントに使用するイメージです。
それぞれ再生してみたいと思います。
動画内チャプター「00:29 ダイナミックイコライザーとは」内の「01:29」付近より、普通のイコライザーを掛けた音とダイナミックEQを掛けた音をそれぞれ視聴できます。
ダイナミックイコライザーの「500Hz」のところのバンドに、普通のイコライザーとは違う動きが見えます。
ゲインリダクションメーターのような動きをしています。
これは、条件が揃った時にだけ音をカットしていることを表しています。
ダイナミックEQは、音の多いバストラックやマスタートラックで使用しても良いですし、もちろん、楽器単体のトラックで使用しても良い仕事をしてくれます。
次は、ダイナミックEQのパラメーターと使い方についてみていきたいと思います。
パラメーターと使い方
グラフ表示部
グラフ表示部には普通のパラメトリックイコライザーと同じように設定しているバンドがグラフィカルに表示されます。
バンドセレクター
「F6」と名前が付く通りに「6つ」のバンドが用意されています。
その他に、ローパスフィルターとハイパスフィルターがあります。
操作したいバンドセレクターを選択すると、下にあるバンドコントロールが切り替わります。
各バンドは色分けされています。
バンドコントロール
左から見ていきます。
バンドオンオフボタン:このバンドを使うときはオン、使わないときはオフにしておきます。
バンドモード:「ステレオ・ミッド・サイド」を選択可能で、フィルターの影響範囲を選択します。
いわゆる「MS処理」が可能です。
バンドタイプ:「ハイシェルフ・ベル・ローシェルフ」の3つから選択可能です。
FREQ:バンドの周波数をこのツマミで決定します。
Q:バンド幅です。
Gain:バンドゲインを決めます。
Range:ブーストカット量の限界値を設定します。
スレッショルド:ダイナミック処理を開始する設定値です。
アタック:アタックタイム(0.5ms – 500ms)を選択できます。
リリース:リリースタイム(5ms – 5000ms)です。
SC SOURCE:サイドチェイン設定
HPF/LPF:一般的なフィルターですが、バンドモードで「ステレオ・ミッド・サイド」を選択できます。
ARC:オートリリースコントロールです。
MIX/OUT:エフェクト音のミックス度合いと出力ゲインを操作します。
ちなみに、最近メジャーアップデートした「Studio One6」では、標準プラグインのイコライザーにダイナミックEQの機能が追加されました。
そして「fabfilter Pro-Q3」のダイナミックEQ機能については、以前にレビュー動画やブログ記事を上げていますのでそちらをご覧ください。
ブログ記事↓
次は、音源に掛けてみたいと思います。
音源に掛けてみる
まずはアナライズしながら、エフェクトを掛けない状態でドラムフレーズを再生します。
そして、アナライズの結果を踏まえつつカットする場所を「3ヶ所」設定してみました。
ボーカルやエレキギターを考慮して、ドラムが主張している「540Hz」と「1.2kHz」。
そして、ドラムの金物系の耳障りな高音を抑えるのに「6.5kHz」です。
それぞれ音を確認しながら「Q幅、ゲイン、レンジ、スレッショルド、アタック、リリース」を調整していきます。
また、「F6」は「MS処理」も可能ですが、今回はステレオのみで数値を設定しています。
「MS処理」については、また別の機会に動画にしてみたいと思っています。
動画内チャプター「04:53 音源に掛けてみる」内の「06:01」付近より、ダイナミックEQを掛けた音とバイパス音との比較を視聴できます。
次は、fabfilter Pro-Q3と比較をしてみたいと思います。
fabfilter Pro-Q3と比較
以前レビューした「fabfilter Pro-Q3」も同じ数値に設定してみましたので、効果を比較してみたいと思います。
ちなみに、「Pro-Q3」は「F6」に装備されているアタックとリリースの設定がありません。
おそらくプラグインがオートで判断して動いていると思われますが、これが音の違いに出てくるのか注目です。
動画内チャプター「06:56 fabfilter Pro-Q3と比較」内の「07:27」付近より音を視聴できます。
「fabfilter Pro-Q3」は「F6」と比べてみると、ゆっくりとイコライザーが効いている印象を受けました。
「F6」の方にはアタックとリリースのツマミがありますので、アタックが遅めでリリースを早めといった設定をしてあげると、ダイナミクスとスピード感を演出できます。
楽曲のテンポに合わせて、好みで使うプラグインを選択すると良いと思いました。
マルチバンドコンプとの違い
「ダイナミックEQ」と「マルチバンドコンプレッサー」は、周波数帯域を指定してブーストカットできるのと、スレッショルド値を設定して音量をきっかけにしていますので、性質的には似ていると考えられます。
ただ、マルチバンドコンプはバンド幅の最小値が「300Hz」あり、より精密にピンポイントでブーストカット出来るのはダイナミックイコライザーになります。
マルチバンドコンプの記事↓
また、ブーストカットの性質もイコライザーと圧縮をするコンプレッサーでは違いがあります。
場面に応じてどちらかを選択して使用するというカタチになると思います。
ちなみに、「F6」の説明書には「圧縮する」という記載があります。
ダイナミックイコライザーも実は圧縮しているのが正解なのかは、今のところ私にはよくわかっていない部分です。
まとめと次回予告
まとめ
ダイナミックイコライザーは精密にブーストカット出来る分、パラメーターも項目が多くて複雑ですが、使いこなすことが出来るとどんな場面でも非常に役に立つプラグインです。
「Waves」の「F6」は、アタックとリリースをマニュアルで操作できるのがほかのダイナミックEQに無い機能で良いと思いました。
次回予告
次回は、チャンネルストリップのプラグインをみていきたいと思います。
レコーディングスタジオのコンソール卓にあるトラックのイコライザーやコンプレッサーをそのままモデリングしたものです。
販売されているプラグインはいくつもありますが、次回は「Waves」より出ている「SSL」のプラグインの新しいモデルをレビューしてみたいと思います。
また次回の動画も観て頂けたら嬉しいです。
次回のブログ記事↓
それでは、最後までご視聴ありがとうございました。