ご挨拶
こんにちは、ツキシマです。
これまで当ブログでは、チャンネルストリッププラグインをレビューする記事と動画を「4つ」作りました。
それらを操作したりエフェクトを掛けた結果を検証していく中で、イコライザーとコンプレッサーの順番について気が付いたことがありましたので、私の今の考え方として動画に残しておきたいと思います。
また、今回のお話の前提ですが、エフェクトの掛け方は楽曲をミックスする個人の自由ですので、私が「こうした方が良い」と決めつける内容ではありません。
この動画の内容をみて、「そんなの当たり前」と思う方も多くいらっしゃると思います。
ご理解の上でご覧ください。
*今回は考察する記事です*
それでは、動画の目次です。
EQとコンプの順番とは、音源にエフェクトを掛けてみる、アナライズ結果から気付いたことのまとめ、最後に感想と次回予告です。
次は、EQとコンプについておさらいしつつ考えていきたいと思います。
EQとコンプの順番とは
EQとコンプの役割
楽曲をミックスするときは、それぞれの音源に対して基本的にマストでイコライザーとコンプレッサーを掛けていきます。
イコライザーは、余分な帯域の音をカットしたり、必要な帯域の音をブーストして、他のトラックとぶつからないように音を整えていくために使用します。
また、コンプレッサーは、音の強弱を整えて音源を聴きやすくするために使用します。
エフェクトをかける順番
ミキサーのトラックをみていきます。
音は上から下へ流れるイメージです。
そこで次に考えるのは「イコライザーとコンプレッサーのどちらを先に音源に掛けていくか(トラックに挿入するのか)」ということです。
これが今回のテーマになります。
今は「イコライザー→コンプレッサー」の順にトラックに挿入されています。
それぞれのエフェクトの効果をみながら順番について言い換えます。
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先にイコライザーで音をブーストカットしてから、コンプレッサーで音の強弱を整える。【EQ→コンプ】
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先にコンプレッサーで音の強弱を整えてから、イコライザーで音をブーストカットする。【コンプ→EQ】
上記のどちらかになります。
ちなみに私は、今まで基本的に前者のスタイルでミックスしていました。
理由は、イコライザーで不要な帯域をカットしてからコンプレッサーを掛けた方が「効率的」だと思っていたからです。
それでは、実際に音源に掛けてみて、EQとコンプの順番を変えるとどのような結果になるのか検証してみたいと思います。
音源にエフェクトを掛けてみる
動画内チャプター「02:48 エフェクトを掛けてみる」内にて実際に音源にエフェクトの順番を変えて再生した音を視聴できます。
再生する順番は、「バイパス」、「EQ→コンプと掛けた音」、「コンプ→EQと掛けた音」です。
EQとコンプの設定値は、順番を入れ替えてもそれぞれ同じにしています。
今回は検証結果の方に時間を割きたいので、「EQ・コンプ」の各設定値については割愛します。
ただ、基本的に前回の動画の設定とほぼ同じにしていますので、気になる方はそちらの動画をご覧ください。
ドラム
ドラムの音源に掛けていきます。
結果の考察
最初に気が付いたのは、「コンプ→EQ」と掛けた音が一番音が小さくなっていることです。
コンプレッサーのゲインはエフェクトを入れ替えても同じ「2.5dB」の設定ですので、ここに違いが出てきています。
イコライザーの効き具合については、ローカットの部分に大きく違いが出ています。
「20Hz」以下をローカットしましたが、「コンプ→EQ」の順番の方がよりカットされています。
全体の波形を改めて見ると「EQ→コンプ」と掛けた方は、ダイナミクス(音の強弱)がある程度保たれた結果で、「コンプ→EQ」と掛けた方は、より平坦な結果に見受けられます。
ドラムトラック(バストラック)などでダイナミクスを優先させたい場合は「EQ→コンプ」、ダイナミクスを抑えた結果にしたい場合は「コンプ→EQ」と掛けた方が良い結果になると思われます。
ベース
次は、ベースの音源に掛けていきます。
結果の考察
ベースは、ダイナミクス的には順番を変えてもあまり変わりがないようにみえます。
ただ、僅かですが「コンプ→EQ」と掛けた方がメリハリが出ています。
イコライザーの効き具合については、「2.4kHz」と「86Hz」とローエンド付近に違いがあります。
これは、コンプのあとにEQを掛けている効果だと思います。
ギター
次は、ギターの音源に掛けた音です。
結果の考察
ギターは、アナライズ結果の波形に分かりやすく大きな違いが出ています。
「80Hz」以下をローカットしましたが、「コンプ→EQ」と掛けた方はザックリとローカットされています。
そして、やはり「EQ→コンプ」と掛けると、カットした周波数がイコライザーのあとに掛けたコンプレッサーによって持ち上げられることが分かります。
ハイカットの部分も同じことがいえると思います。
また、「コンプ→EQ」と掛けた方は「886Hz」と「4.2kHz」付近は強調されつつローカットとハイカットが良く効いていますので、「EQ→コンプ」とエフェクトを掛けるよりも効果的だと思います。
ミックス(ドラム・ベース・ギター)
「ドラム・ベース・ギター」の音源に掛けた音をみていきます。
結果の考察
アナライズの結果をみてまず最初に気が付いたことがあります。
ドラムの音のみにエフェクトを掛けたときは、「コンプ→EQ」と掛けた方の音が小さくなっていましたが、「ドラム・ベース・ギター」をミックスした時の結果は、「EQ→コンプ」と掛けた場合と「コンプ→EQ」を掛けた場合で大体同じ音量になっているということです。
これは意外な結果でした。
また、イコライザーもあとに掛けた方が、自分で想像した通りに効率良く効いている感じです。
実際の音を聴いてみても、僅かな違いですが「コンプ→EQ」と掛けた方が締まっているミックスと感じました。
以上のような結果になりました。
次は、アナライズ結果から気付いたことを改めてまとめてみました。
アナライズ結果から気付いたことのまとめ
アナライズの結果から鑑みると、効率良くエフェクトを掛けられているのは、やはり「先にコンプレッサーで音の強弱を整えてから、イコライザーで音をブーストカットする」という方であると私は思います。
理由は前の章でも述べた通りで、イコライザーのあとにコンプレッサーを掛けると、折角イコライザーでカットした帯域がコンプレッサーによって持ち上げられているためです。(下図参照)
ということは、私が今まで行っていた「先にイコライザーで音をブーストカット(主にカット)してから、コンプレッサーで音の強弱を整える」というのは「あまり効率的では無い」ということになります。
ただこれは、「それぞれのエフェクトに何を求めて掛けていくか」ということでも見方は変わってくると思います。
私の場合は、最初に掛けるイコライザーには「他のトラックと被る不要な帯域をカットする」ことを求めています。
そういう観点から見ると「コンプレッサーの後にイコライザーを掛けた方が効率的」ということになります。
ちなみに、レビューしていて気が付いたのですが、「SSL」のプラグインもデフォルトが「コンプ→EQ」ですので、このルーティングの方が効率的なのを示しているのかもしれません。
ただ、「EQ→コンプ」の方が生きる場面も必ずあると思います。
次は、感想と次回予告です。
感想と次回予告
感想
最初にお話しした通り、エフェクトを掛ける順番は個人の自由であり、私も決めつけている訳ではありません。
ただ、どちらを先にしたら効率良くエフェクトを掛けられるかについて、私の中で現時点での答えは、「コンプレッサー」→「イコライザー」の順番だと思いました。
この動画を観た方も是非、自分なりのエフェクトの掛け方を研究してみてください。
次回予告
次回の音楽堂では、「Loupedeck CT」という動画編集ソフトやDTMソフトをコントロール出来るガジェットを購入しましたので、開封レビューをしたいと思います。
次回のブログ記事↓
また次回の動画も観て頂けたら嬉しいです。
それでは、最後までご視聴ありがとうございました。
“イコライザーとコンプレッサーの順番について考えてみました。【DTM初心者向け/ミックス/EQ/コンプ/比較】” への1件のフィードバック